ケーブルラック耐荷重・支持間隔チェッカー

ケーブル質量の積み上げ → 積載検定比 → 営繕基準の照合までを一度に

ケーブル条数から積載質量を積み上げ、カタログの許容積載質量を実際の支持間隔に換算して検定比を算出。 公共建築工事標準仕様書2.10.1の支持間隔と吊りボルト呼び径も同時に照合する。

シナリオ

ラック仕様

kg/m
kg/m

許容積載質量はカタログの値(支点間隔2m・両端支持・等分布時)を入れる。 既定107はネグロス電工SR-30の公表値で、シリーズ・幅で大きく変わる

支持条件

m

連続ばりでは許容荷重が1.25倍になる(ネグロス電工/日本建築学会 構造計算規準)

1支持点あたりの本数(標準は左右2本)。幅600mm以下なので呼び径9mm以上が規程

積載ケーブル

38sq 3心 = 1.380 kg/m・1条あたり

検定結果

積載検定比0.19積載 20.6 / 許容 107.0 kg/m
OK(余裕あり)

合計積載質量

20.56 kg/m

ケーブル 16.56 + 自重 4

この支持間隔での許容

107.0 kg/m

カタログ値 × (2/2)² × 1

ケーブル質量

16.56 kg/m

12条 × 1.380 kg/m

検定比1.0に必要な支持間隔

4.56 m

現状の支持間隔で満足

ボルト1本の引張

0.202 kN

参考値

ボルト許容引張

7.88 kN

有効断面積 × 156.7 N/mm²

引張検定比

0.026

参考値

支持間隔の規程

適合

鋼製は2m以下 [2.10.1(2)]

吊りボルト径の規程

適合

幅300mmは呼び径9mm以上 [2.10.1(4)]

吊りボルトの引張検定比は実務条件では0.1を大きく下回るのが正常。吊りボルトは引張では決まらず、 規程の呼び径と地震時の水平力が実質的な制約になる

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)とメーカーの許容荷重表に基づく簡易検討。 許容積載質量はメーカー・シリーズ・幅で大きく異なるため、必ず手元のカタログ値を入力すること。 地震時の水平力(耐震支持)、多段積み時の相互影響、ケーブルの偏心載荷は考慮していない。 実施設計は有資格者が行うこと。

PR

📘 電気設備の施工図・幹線設計に役立つ本

関連ツール

ケーブルラック、幅は決めたのに「何kg載るか」は誰が見ている?

施工図でラック幅が決まると、なんとなく一段落した気分になる。占積率は20%以内、幅は600、はい次の系統へ。けれどその図面には、答えの書かれていない問いがもう一つ残っている。そのラックは、そこに載るケーブルの重さに耐えるのか

幅の選定は断面の話で、耐荷重は長さ方向の話だ。まったく別の計算をしている。幅600のラックに325sqの3心を10条流せば、ケーブルだけで106kg/m。ラック自重を足して2mスパンなら、1支持点に220kg超がぶら下がる。それを受けるのは天井から下りた呼び径9.5mmの吊りボルト2本と、2mおきに打った支持点だけ。幅が足りているかどうかは、この重さについて何ひとつ教えてくれない。

このツールは、ケーブルラック幅選定シミュレーター が担当する幅選定の対になる強度側を引き受ける。ケーブルのサイズ・心数・条数から積載質量を積み上げ、メーカーカタログの許容積載質量を実際の支持間隔へ換算して検定比を出す。あわせて公共建築工事標準仕様書2.10.1の支持間隔と吊りボルト呼び径にも照合するので、「計算上は余裕なのに規程では不可」という現場でいちばん厄介なパターンを取りこぼさずに済む。

なぜ作ったのか

メーカーのカタログを開くと、耐荷重について書いてあるのは実質1行だけだった。「許容積載質量 107kg/m」。その脇に小さく「支点間隔2.0m・両端支持・等分布荷重」と条件が添えてある。

問題は、現場がその条件どおりになることがまずない点だ。梁の位置に合わせて支持を1.6mで打つこともあれば、配線室で1.2mに詰めることもある。長い直線区間は当然3点以上の連続支持になる。つまりカタログの107kg/mは、実際に使う条件では一度もそのまま使えない数字なのに、メーカーが公表しているのはその1点だけ。そのたびに電卓を叩いて換算していた。

換算そのものは難しくない。曲げが支配するのだから許容は支持間隔の2乗に反比例するし、連続ばりなら建築学会の略算法で1.25倍になる。だが「難しくない計算を毎回やる」ことこそがミスの温床だった。(2.0/1.6)² を暗算で1.5くらいと置いて許容を1割過大に見積もる、連続ばり係数を中間スパンの1.66で採ってしまい安全側から外れる、ケーブル質量表の心数の列を1つ読み違える——どれも計算書の途中では気づけない類のミスだ。

さらに、幅選定のツールは世に複数あるのに、強度側が見当たらない。検索で出てくるのはメーカーのPDF(自社シリーズの表しか載っていない)か、断面二次モーメントを入力させる汎用はりツールのどちらか。後者はケーブルラックには使えない。理由は§8で詳しく書くが、ラックの断面性能も材料グレードもメーカーが公表していないからだ。

そこで「手元のカタログの数字1つと、現場の支持条件だけ入れれば、検定比と規程適合が同時に出る」道具にした。許容積載質量を固定表で内蔵せずユーザー入力にしたのは意図的で、この値はメーカー・シリーズ・幅で倍近く違うため、内蔵した瞬間にどこかで嘘をつくことになる。一方でケーブルの質量は規格で決まるので内蔵した(600V CV・13サイズ×4心数)。変わるものは入力に、変わらないものは表に。この線引きが設計の芯になっている。

ケーブルラック 耐荷重 とは — カタログの「107kg/m」が前提にしていること

ケーブルラック 耐荷重 の正体は側桁の曲げ

ケーブルラックは、力学的にはただの梁だ。両側の側桁(サイドレール)が主桁で、その間に子桁(ラダーの桟)が渡っている。ケーブルは子桁の上に乗るが、その重さは最終的にすべて側桁に流れ、支持点まで運ばれる。

このとき側桁に効くのは曲げモーメントだ。等分布荷重を受ける単純支持ばりの中央では、

M = w × L² / 8

w が1mあたりの荷重、L が支点間隔。そして曲げ応力は断面係数 Z を使って σ = M / Z になる(曲げモーメント断面係数)。

身近なたとえで言えば本棚の棚板だ。同じ棚板でも、支えの間隔が広いほど本を載せたときにたわむし、真ん中で折れる。棚板そのものの丈夫さ(Z)は変わっていないのに、載せられる本の量は支えの間隔で決まってしまう。ケーブルラックもまったく同じ構図で、ラックの型番だけでは耐荷重は決まらない

なぜ許容荷重は ケーブルラック 支持間隔 の2乗に反比例するのか

上の2式を、許容応力 σa を超えない条件でまとめる。

σ = w L² / (8 Z) ≦ σa
→ w ≦ 8 × σa × Z / L²

右辺で L に依存するのは の分母だけだ。σaZ もラック側の性質で、支持間隔をどう変えても動かない。したがって許容できる積載質量 w は支持間隔 L の2乗に反比例する。この関係を使えば、カタログが基準にしている2.0mの値を任意のスパンへ移せる。

その支持間隔での許容 = カタログ値 × (2.0 / L)²

効き方は直感より強い。107kg/mのラックを1.5mピッチで支持すれば (2.0/1.5)² = 1.778 倍で190.2kg/m。逆に2.5mまで伸ばすと (2.0/2.5)² = 0.64 倍の68.5kg/mまで落ちる。支持間隔を25%詰めるだけで許容が1.8倍近くになる一方、25%伸ばしただけで4割近く失う。「あと1条だけ入れたい」ときに幅を上げるより支持を1本足すほうが効くのは、この2乗のせいだ。

連続ばり係数1.25はどこから来た数字か

もう一つの補正が連続ばりだ。カタログ値は両端支持、つまり2点で受けた1スパンの値だが、実際のラックは3点でも4点でも連続して支持される。連続ばりでは支点上に負の曲げが立つぶん、スパン中央の曲げが小さくなり、同じ応力なら余計に載せられる。

その係数の出どころは、ネグロス電工の技術資料「MiNi通信 S.49.9.20 連続支持の場合の許容荷重」で、建築学会の構造計算規準にある連続ばり応力の略算法にもとづいている。両端支持を1.0としたときの倍率は次のとおりだ。

支持形式各スパンの倍率
2点支持(単純ばり)1.0
3点支持1.25
4点支持1.25 / 1.66 / 1.25
5点支持1.25 / 1.66 / 1.66 / 1.25

ここで大事なのは、原典が続けて示している運用の指示だ。同じケーブルがスパンを跨いで通る以上、一番低い値を許容として採る。原典の計算例そのものが、SR-30(支点間隔2.0mで107kg/m)を6.0mにわたり2.0m間隔の4点支持にした場合、端部は1.25倍の134kg/m、中央は1.66倍の178kg/mとなるが、採用するのは低いほうの134kg/m、という形で書かれている。本ツールも同じ立場を取り、3点以上の連続支持は一律1.25倍として扱う。中央スパンだけを見て1.66を使えば数字は良くなるが、その1.66は端部スパンでは成立しない。

積載質量は「重さ」ではなく「1mあたりの重さ」

最後に単位の話を押さえておきたい。ラックの検討で扱う荷重はすべて kg/m、つまり長さ1mあたりの質量だ。38sqの3心CVは1条あたり1.38kg/m。これを12条流すと16.56kg/m。ラック自重4.0kg/mを足して合計20.56kg/m。この数字は「20.56kg」ではなく「1mごとに20.56kg」という意味で、2mスパンなら1スパンあたり41kg、6m区間なら123kgになる。

ケーブルは細く見えても、太物になると一気に効く。325sqの3心は1条で10.64kg/m。10条で106.4kg/mとなり、38sq12条の6倍以上だ。条数ではなくサイズ×心数×条数の積で効くという感覚が、ラックの耐荷重では欠かせない。

支持間隔を守らないと何が起きるか

計算とは別に、ケーブルラックの支持には守るべき規程がある。根拠は公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)2.10.1で、官庁工事はもちろん民間工事でも事実上の標準として参照される(官庁営繕の技術基準|国土交通省)。要点は3つだ。

  • 水平部の支持間隔は、鋼製では2m以下、その他については1.5m以下【2.10.1,(2)】
  • 垂直部の支持間隔は3m以下。ただし配線室等では6m以下の範囲で各階支持とすることができる【2.10.1,(3)】
  • 吊りボルトは、幅600mm以下では呼び径9mm以上、600mmを超えるものでは呼び径12mm以上【2.10.1,(4)】

ここで一つ意外な事実がある。内線規程にはケーブルラックの支持間隔の規定が無い。内線規程はケーブルの支持や金属管の支持点についてはかなり細かく書いているのに、ラック本体の支持間隔には触れていない。だから民間の物件で「内線規程を確認したが載っていない」となり、そのまま感覚で2.5mや3mで打たれてしまうことがある。拠り所は公共建築工事標準仕様書のほうだと知っているかどうかで、施工図のレビューの精度が変わる。

規程を外したときの実害は、まずたわみとして出る。許容積載質量はメーカーが強度とたわみの両方を見て決めているので、荷重が許容を超えるということは、応力と同時にたわみ制限も破っているということだ。たわみが進むと継ぎ手部に段差が生まれ、後からケーブルを引き入れるときにシースを擦る。目視では「ラックが波打っている」状態になり、竣工検査で必ず指摘される。そして最終的な最悪ケースが地震時の脱落で、重量物が天井裏から落ちれば人身事故になり得る。

もう一つ、規程の性格そのものについて触れておきたい。吊りボルトの呼び径9mm/12mmという数字は、引張応力の計算からは絶対に出てこない。実際に計算すると、実務的な荷重ではW3/8でも引張に対する余裕が桁違いにあり、ボルトの引張は支配要因にならない(この数字は§8で具体的に示す)。それでも幅800には12mm以上が要求されるのは、施工誤差・座屈・振れ・繰り返しによる緩みなど、静的な引張応力では表現できない要素を呼び径で丸ごと担保しているからだ。だから「計算では余裕だから細くていい」は通らない。本ツールが検定比とは独立に規程照合を並べているのは、この2つが別の論理で動いているからにほかならない。

こんな場面で開くことになる

幹線を増設したい。既設の幅600ラックに、あと3条だけ回路を追加できないか。図面から既設の条数とサイズを拾って積み上げ、検定比を見る。0.6程度なら余裕、0.9を超えていたら支持の追加か別ルートを検討することになる。

施工図で支持間隔を決める。梁やインサートの位置の都合で、意図せず1.6mや1.8mの半端なピッチになることがある。カタログには2.0mの値しか載っていないので、その場で換算した許容と積載を突き合わせる。逆に「1.8mまでなら伸ばしていいか」を確かめる使い方もできる。

既設の是正判断。改修や増床の調査で、既設ラックが2.5mピッチで吊られているのを見つけたとき。規程超過であること自体は明らかだが、是正の優先度は積載の余裕次第で変わる。検定比が0.2で規程だけ外れているのか、検定比0.95で規程も外れているのかでは、報告書の書き方も工事の緊急度も違う。

見積・設計段階の当たり付け。幅とシリーズを決める前に、想定する幹線構成でどのくらいの積載になるかを先に出しておく。許容積載質量を仮に入れて比較すれば、上位シリーズが必要かどうかの目星がその場で付く。

基本の使い方(3ステップ)

Step 1:ラック仕様を入れる。 呼び幅・材質(鋼製かその他か)に加えて、手元のカタログから許容積載質量自重を入力する。許容積載質量はカタログの「支点間隔2.0m・両端支持」の値をそのまま入れればよい。既定の107kg/mはネグロス電工SR-30の公表値だが、シリーズと幅で大きく変わるので必ず自分の物件のカタログを確認してほしい。

Step 2:支持条件を選ぶ。 支持間隔と、支持のしかた(2点支持か3点以上の連続支持か)。あわせて吊りボルトの呼び(W3/8・M10・M12・W1/2)と1支持点あたりの本数を選ぶ。材質と支持間隔の組合せがそのまま規程照合に使われる。

Step 3:積載ケーブルを入れる。 サイズ・心数・条数。選ぶと1条あたりの単位質量が表示されるので、カタログや積算書の数字と突き合わせられる。サイズが混在する系統は、主要サイズで代表させるか、質量が釣り合うよう条数を調整して入れる。

結果として出るのは、積載検定比(1.00以下でOK)、合計積載質量とその支持間隔での許容、ケーブル質量の内訳、吊りボルト1本あたりの引張とその許容、そして支持間隔と吊りボルト径がそれぞれ「適合」か「規程超過」かの表示だ。加えて、いまの積載で検定比がちょうど1.0になる支持間隔も出るので、超過したときにどこまで詰めればよいかがそのまま読める。

具体的な使用例 — 7ケースで検定比の動き方を見る

以下はすべて実際の計算結果で、数値は検証済みのテストケースと一致する。

ケース1:まずは基準となる既定条件

入力 — 幅300・鋼製、カタログ許容107kg/m、支持間隔2.0m、2点支持、CV 38sq 3心を12条、ラック自重4.0kg/m、吊りボルトW3/8を2本。

結果 — 単位質量1.38kg/m × 12条 = ケーブル16.56kg/m、自重を足して合計20.56kg/m。許容は 107 × (2.0/2.0)² × 1.0 = 107.0kg/m なのでカタログ値そのまま。積載検定比0.192でOK判定。吊りボルトは1本あたり引張0.202kNに対し許容7.88kN、検定比0.026。

解釈 — 幹線としてはごく標準的な構成で、許容の2割弱しか使っていない。検定比1.0になる支持間隔は4.56mなので、荷重的には2mピッチは相当な安全側。ただし規程上限が2.0mである以上、これ以上伸ばす選択肢は無い。荷重ではなく規程が支配している典型例だ。

ケース2:同じ条件を3点以上の連続支持にする

入力 — ケース1の支持のしかただけを「3点以上の連続支持」に変更。

結果 — 積載は20.56kg/mで変わらないが、許容が 107 × 1.0 × 1.25 = 133.75kg/m に上がる。検定比0.192 → 0.154。検定比1.0になる支持間隔も4.56m → 5.10mに伸びる。

解釈 — 支持点を「増やす」のではなく、連続していることを正しく評価するだけで許容が25%増える。長い直線区間はほぼ必ず連続支持なので、2点支持のまま計算していると常に25%損をしていることになる。逆に、ダクト貫通前後などで実質的に単独スパンになっている箇所は、素直に2点支持側で見るべきだ。

ケース3:支持間隔を1.5mに詰める

入力 — ケース1のまま、支持間隔だけ2.0m → 1.5m。

結果 — 許容が 107 × (2.0/1.5)² × 1.0 = 190.2kg/m に跳ね上がり、検定比0.192 → 0.108。吊りボルト1本の引張は0.202kN → 0.151kNに下がる。

解釈 — 支持間隔を25%詰めただけで許容が1.78倍。2乗で効くという§3の話が、そのまま数字で出ている。ここで面白いのは、検定比1.0になる支持間隔が4.56mのままで動かないことだ。この値は積載質量とカタログ値と連続ばり係数だけで決まり、いま何mで吊っているかには依存しない。つまり「限界のピッチ」は現状のピッチを変えても動かない不変量で、是正の目標値としてそのまま使える。

ケース4:幅800の太物系統(規程適合)

入力 — 幅800・鋼製、カタログ許容180kg/m、支持間隔2.0m、3点以上の連続支持、CV 100sq 3心を8条、自重7.0kg/m、吊りボルトM12を2本。

結果 — 3.51kg/m × 8条 = 28.08kg/m、自重を足して35.08kg/m。許容は 180 × 1.0 × 1.25 = 225.0kg/m検定比0.156。支持間隔(鋼製2.0m以下)・吊りボルト径(幅800には12mm以上)ともに適合。

解釈 — 幅が広く自重も重いが、カタログ許容も大きいので検定比はケース1と変わらない水準に収まる。ラックは幅が広いほど不利、とは限らない。幅とシリーズが上がれば許容積載質量も上がるので、効くのは幅そのものではなく「載せる本数と太さ」のほうだ。

ケース5:同じ構成で吊りボルトだけW3/8にする

入力 — ケース4の吊りボルトをM12 → W3/8(呼び径9.525mm)に変更。

結果 — 積載検定比は0.156のまま変わらない。吊りボルトの引張検定比も0.044で、許容7.88kNに対して余裕は十分ある。それでも判定はNG。幅800mmには呼び径12mm以上が必要(2.10.1(4))で、9.525mmは不足しているため、吊りボルト径の規程が「呼び径不足」と表示される。

解釈 — このツールで一番伝えたいケースがこれだ。強度計算は全部通っているのに、規程で不可。引張の余裕は22倍以上あるので、応力だけを見ていれば絶対に気づけない。現場でW3/8を標準在庫にしていると、幅600までは問題なく使えるぶん、800に上がった瞬間にそのまま持ち込まれやすい。境界が600mm「以下」/600mmを「超える」であることも間違えやすく、幅600ちょうどはW3/8で適合する。

ケース6:アルミ製ラックを2.0mで吊る

入力 — 幅400・その他(アルミ等)、カタログ許容90kg/m、支持間隔2.0m、2点支持、CV 22sq 3心を10条、自重3.0kg/m、吊りボルトM10を2本。

結果 — 0.855kg/m × 10条 = 8.55kg/m、合計11.55kg/m。許容90.0kg/mに対し検定比0.128と極めて軽い。それでも判定はNG。鋼製以外は支持間隔1.5m以下が規程で、2.0mは超過している。

解釈 — アルミ製は軽くて扱いやすいぶん、鋼製と同じ感覚で2mピッチにされがちだ。荷重の余裕は8倍近くあるのに規程を外している、というケース5と同じ構図がここでも起きる。材質を切り替えると規程上限が2.0m → 1.5mに変わるので、既設調査で材質を確認せずにピッチだけ測ると判定を誤る。

ケース7:過積載寸前の太物10条

入力 — 幅600・鋼製、カタログ許容120kg/m、支持間隔2.0m、2点支持、CV 325sq 3心を10条、自重5.0kg/m、吊りボルトM12を2本。

結果 — 10.64kg/m × 10条 = 106.4kg/m、自重を足して111.4kg/m。許容120.0kg/mに対し検定比0.928で「注意」判定。検定比が1.0になる支持間隔は2.08mで、いまの2.0mとほとんど差が無い。吊りボルトの引張は1.09kNまで上がるが、それでも許容13.2kNに対し検定比0.083にとどまる。

解釈 — 数字の上ではまだ許容内だが、余裕は7%しか無い。将来1条でも追加すれば10.64kg/mが乗って一発で超過する。実務ではこの段階で「幅を上げる」「支持を1.8mに詰める」「別ルートに振る」のいずれかを検討したい。支持間隔の限界が2.08mというのは、施工誤差でピッチが2.1mになっただけでアウトという意味でもあり、施工精度の管理値としても読める。

仕組み・アルゴリズム

手法の選択 — 断面性能から解くか、カタログ値を換算するか

このツールを作るにあたり、計算の出発点として2つの案があった。

案A:ラックの断面性能から応力とたわみを直接計算する。 側桁の断面から断面二次モーメント I と断面係数 Z を求め、σ = wL²/(8Z)δ = 5wL⁴/(384EI) で応力とたわみを出し、それぞれ許容値と比べる。汎用のはり計算ツールと同じ考え方で、理論的には最も筋が通っている。

案B:メーカーが公表している許容積載質量を、実条件へ換算する。 カタログの「支点間隔2.0m・両端支持・等分布荷重」の値を出発点に、(2.0/L)² と連続ばり係数を掛けて実際の支持条件に移し、積載質量と比べる。

採用したのは案Bだ。理由ははっきりしている。ケーブルラックの断面二次モーメントも材料グレードも、メーカーが公表していない。側桁の板厚・成形形状・リブの有無はシリーズごとに違い、カタログには載っていない。案Aを採るなら「たぶんこのくらいの溝形断面だろう」と自分で IZ を仮定することになるが、それは根拠ではなく前提の捏造だ。しかも実際の許容積載質量は曲げ応力だけで決まっているわけではなく、たわみ制限や子桁の溶接部の耐力まで含めてメーカーが実験と計算で決めた値なので、曲げだけで組み直した数字とはそもそも一致しない。

案Bの利点は、前提が「カタログ値」1つに集約されることにある。ユーザーが根拠として提出できる一次資料は手元のカタログであり、ツールがやるのは公開された物理則(曲げ支配なので許容は に反比例)と、公表された連続ばり係数を掛けるだけ。ツールが独自に仮定する数値がゼロになる。計算書に貼ったときに「この I はどこから来た?」と聞かれない構成、というのが決め手だった。

なお、たわみの絶対値を出す機能を見送ったのも同じ理由だ。許容荷重から EI を逆算して分離することはできない以上、mm単位のたわみ量を出そうとすれば必ずどこかで断面を仮定することになる。許容積載質量にたわみ制限が織り込まれている前提で扱い、検定比が1.0以下ならたわみも成立していると読む——これが根拠を捏造しない範囲でできる最大限だと判断した。

計算フロー

1. unitMass  = CABLE_MASS[cableSize][cableCores]        // kg/m・1条あたり
2. cableMass = unitMass × cableCount                     // kg/m
3. w         = cableMass + rackSelfWeight                // kg/m(合計積載質量)

4. k         = 2点支持なら 1.0 / 3点以上なら 1.25        // 連続ばり係数
5. allowAt   = catalog × (2.0 / L)² × k                  // その支持間隔での許容 kg/m
6. loadRatio = w / allowAt                               // 積載検定比

7. requiredSpan = 2.0 × √(catalog × k / w)               // 検定比1.0になる支持間隔 m

8. boltTension = w × L × 9.80665 / boltCount / 1000      // kN(参考値)
9. boltAllow   = As × (235 / 1.5) / 1000                 // kN

10. 規程: L ≦ (鋼製 2.0 / その他 1.5) [m]
    規程: 呼び径 ≧ (幅 ≦ 600 ? 9 : 12) [mm]

ステップ7の逆算は、w / (catalog × (2.0/L)² × k) ≦ 1L について解いただけだ。w はケーブル1条+自重0でも必ず正になるので、0除算は起きない。ステップ9の許容引張は、吊りボルトを一般構造用鋼SS400相当とみなし、基準強度F=235N/mm²を長期の除数1.5で割った ft = 156.667 N/mm² に有効断面積を掛けたものだ。

使っている定数の出どころ

ケーブル質量表は600V CVの13サイズ×4心数を内蔵している。出典はカネシン電機が公開している1m当り重量の表で、機械抽出して全数を取り込んだ。ここで一つ注意点があり、150sq・200sq・250sq・325sqの4心は原表に存在しない。太物の4心は実際にもほとんど使われないためだ。無い値を近似で埋めることはしていないので、この4通りを選ぶと計算結果を出さず「規格表にありません」と案内する。13×4=52通りのうち4通りが欠測、という状態を隠さずに持っているのが正しい姿だと考えている。

吊りボルトの有効断面積は、M10=58.0mm²・M12=84.3mm²がJIS B 1082の公表値で、既存の アンカーボルト引抜・せん断強度計算 が持っている値と一致させてある。同じM12を入れて2つのツールが違う答えを返すのは、それだけで信用を失うからだ。ウィットねじのW3/8・W1/2はJISに公表値が無いため、JISと同じ定義式 As = π/4 × ((d2+d3)/2)² で算出した。この式がメートルねじ5サイズ(M8/M10/M12/M16/M20)でJIS公表値を±0.21%以内で再現することを確認したうえで適用している。

式の妥当性の裏取り

換算式そのものが正しいかは、原典の公表計算例と突き合わせて確認した。ネグロス電工 MiNi通信の計算例では、SR-30(支点間隔2.0mで107kg/m)を2.0m間隔の4点支持にした場合、端部が1.25倍の134kg/m、中央が1.66倍の178kg/mとされている。本ツールの式に同じ条件を入れると 107 × 1.25 = 133.75107 × 1.66 = 177.62 となり、公表値の丸め表記と一致する。式を自分で立てて満足するのではなく、公表されている答えを再現できるかで検証する——これは定数の孫引きを避けるのと同じくらい重要な手続きだと思っている。

「常にOKにしかならない検定」をどう扱うか

実装していて気づいたことがある。吊りボルトの引張検定比は、実務的な条件では0.004〜0.083にしかならない。ケース1で0.026、ボルト1本支持にしても0.051、最も重いケース7でさえ0.083。これは計算ミスではなく物理的に正しい。W3/8の許容引張が7.88kNあるのに対し、2mスパン・20kg/mの荷重で1本にかかる引張は0.2kN程度しかないからだ。

ここで設計判断が要る。常にOKにしかならない検定を、判定の主役に据えてはいけない。「安全率20倍」と大書きされた画面は、見ている人に「このラックは十分安全だ」という誤った安心を与える。実際に危ないのは積載検定比と規程適合のほうなのに、視線が別のところへ向いてしまう。

そこで判定(OK/注意/NG)は積載検定比と2つの規程照合だけで決め、吊りボルトの引張は参考値として、桁違いに余裕があるのが正常である旨の注記とセットで表示する形にした。ケース5がまさにこの設計の意味を示していて、引張の余裕が22倍あっても呼び径が足りなければNGになる。吊りボルトを支配するのは引張応力ではなく、規程の呼び径と——本ツールでは扱っていないが——地震時の水平力のほうだ。数字が出るからといって、それが判断の中心にあるとは限らない。

幅は出せるのに強度は出せない — 既存ツールとの違い

「ケーブルラック 強度計算」で検索して出てくるものは、実のところ3種類に分かれる。どれも本ツールとは狙いが違う。

1つめは幅と占積率を出すサイズ選定ツール。ケーブルの外径と条数から必要なラック幅を返してくれるもので、これは複数ある。ただし返ってくるのは幅であって、その幅のラックに何kg載るかは対象外だ。

2つめは汎用のはりたわみ計算ツール。等分布荷重の単純ばりとして曲げ応力とたわみを出してくれるので、理屈のうえではケーブルラックにも使える。詰まるのは入力欄で、断面二次モーメントと断面係数を要求してくる。ケーブルラックはこの2つがメーカー非公表だ(前半で触れたとおり、これが本ツールの計算方式を決めた理由でもある)。手元のカタログを何ページめくっても I も Z も出てこないので、入力欄が埋まらないまま終わる。

3つめは支持間隔の規程を並べた解説記事。鋼製2m以下・その他1.5m以下という数字は書いてあるが、その間隔で荷重が実際に持つかどうかは読者任せになっている。規程を満たしていても積載が許容を超えることはあるし、逆に強度に余裕があっても規程超過なら是正対象だ。両方を突き合わせないと答えは出ない。

本ツールが埋めるのはこの隙間だ。入れるのはカタログに必ず載っている許容積載質量ひとつ。そこから実支持間隔へのスパン換算、連続ばり係数の適用、ケーブル質量の積み上げ、営繕基準との照合までを通しでやる。断面性能を知らなくても、カタログを1ページ開けば計算が閉じる。

関連ツールとの役割分担も切り分けてある。ケーブルラック幅選定シミュレーターは幅を決める側で、本ツールは決まった幅で何kg載るか・支持間隔が足りるかを見る側。ちょうど対になっている。アンカーボルト引抜・せん断強度計算は躯体に打つあと施工アンカーの引抜き耐力が担当で、本ツールは吊りボルトの引張までで止めてある。配管サポート間隔チェッカーは同じ「支持間隔」を扱うが拠り所がMSS/JISで別系統、天井吊り下げ耐荷重チェッカーはDIY寄りの下地判定が主題だ。

半世紀前のメーカー資料と、生き残ったインチねじ

連続ばり係数の出典は1974年の技術資料

連続支持の割増し係数そのものは前半の解説で導出したとおりだが、その出どころの古さはあまり知られていない。根拠を辿るとネグロス電工が発行した技術資料「MiNi通信」の昭和49年9月20日号に行き着く。西暦でいえば1974年、半世紀前だ。

面白いのは、この資料が今も現役で引かれ続けていることだ。JISにもJEACにもこの係数は無い。公的な規格が引き取らなかったにもかかわらず、設計者が連続支持の割増しを説明するときはたいていこの一枚に戻ってくる。仮設や電気設備の分野では、こうした「規格になりそこねたまま実務標準として生き残った資料」がいくつもある。出典が1メーカーの技術資料である以上、根拠として示すときは資料名と発行年まで書き添えておくのが安全だ。

W3/8はなぜ電気工事で生き残ったのか

吊りボルトの選択肢に「W3/8」というインチ系の呼びが混ざっているのを、不思議に思った人もいるはずだ。日本の機械要素はメートルねじへの統一が進んでいて、一般の機械設計でウィットねじを見ることはもう滅多に無い。それでも建築設備と電気工事の吊りボルト・インサートまわりだけは、いまだにインチ系が主役を張っている。

理由は単純で、戦後に普及した吊り金物・インサート・全ねじ・ナット・振れ止め金具の規格がインチ系で確立し、現場もメーカーも在庫もまるごとその上に載ったからだ。ねじを1本メートルに替えると、それに噛む部材が全部連鎖して替わる。切り替えのコストが利益を上回り続けた結果、ウィットねじだけが局所的に生き残った。

数字の符合も味わい深い。W3/8の呼び径は9.525mm。営繕基準がラック幅600mm以下に求める呼び径は9mm以上なので、0.525mmだけ上回ってぎりぎり要件を満たす。メートル系で揃えるならM10(呼び径10mm)が最小になるが、W3/8が通るおかげで現場は在庫を替えずに済んでいるわけだ。ただし幅600mmを超えた瞬間に要求は12mm以上へ跳ね上がり、W3/8もM10も一斉に不適合になる。太物ラックでW3/8の在庫を流用しようとして引っかかるのは、この境界だ。

「規程で決まっている」と言うときの言葉選び

支持間隔の根拠が内線規程ではなく営繕基準のほうにあることは前半で触れたが、これは現場での言い回しにも効いてくる。民間案件で施主や元請に説明するとき、「内線規程で決まっている」と言ってしまうと、確認された瞬間に根拠が崩れる。正確には「公共建築工事標準仕様書ではこうなっている」であり、民間工事ではそれを自主的に採用しているという位置づけになる。

この差は揚げ足取りではない。営繕基準は契約図書に引用されて初めて拘束力を持つ性格のもので、民間で採るか採らないかは本来は設計判断だ。だからこそ「なぜ2mなのか」を数字で説明できるかどうかが効いてくる。規程を盾にするのではなく、たわみと許容積載の裏付けとセットで示せれば、支持を1本増やす判断は通りやすくなる。

使いこなしのTips

支点を1つ足す方が、幅を1サイズ上げるより効く。 許容荷重は支持間隔の2乗に反比例するので、間隔を詰めた効果は幅の変更を簡単に上回る。しかも上位幅のラックは自重が増えるぶん、載せられる正味が思ったほど伸びない。使用例の支持間隔1.5mのケースと2.0mのケースを見比べると、効き方の差がはっきり出ている。

将来の増設分は最初から条数に足しておく。 積載検定比が0.8を超えると「注意(余裕小)」に変わるが、この2割はまさに増設代だ。竣工時にぴったり1.0で通しておくと、後日1条足した瞬間に超過する。改修が想定される幹線ラックなら、計画条数に2〜3割の余裕を見た条数で入力しておくといい。

多段積みは段ごとに計算して足す。 本ツールは1段分のモデルなので、2段・3段のラックは段ごとに合計積載質量を出して合算し、支持材が共通なら合算値で見る。段ごとに載るケーブルの構成が違うことは普通にあるので、まとめて1回で入れるより段別に出した方が結局早い。

既定の許容積載質量をそのまま使わない。 既定の107kg/mは特定シリーズの公表値であって、メーカー・シリーズ・幅が変われば数字はまるごと変わる。この入力ひとつで結果が全部動くので、面倒でもカタログの該当ページを開いてほしい。値が見つからないうちは、安全側に小さめを入れて当たりを付けるのがいい。

サイズ混在は主要サイズに寄せる。 幹線ラックが1サイズで揃うことは少ない。太物が支配的なら太物のサイズ・心数で条数を代表させ、細物は質量が釣り合うよう条数に読み替えて足す。合計質量さえ合っていれば検定比は正しく出る。

よくある質問

カタログの許容積載質量が手元に無い。どうすればいい?

まずラック本体に貼られた銘板やシールで型番を拾い、メーカー名と型番で許容積載質量の公表値を探すのが最短だ。ケーブルラックの許容荷重は「支点間隔2.0m・両端支持・等分布荷重」の条件で公表されているのが一般的で、本ツールの入力もその前提に合わせてある。どうしても特定できない場合は、同等幅の他シリーズの公表値のうち小さい方を入れて当たりを付け、正式な計算書には実際の型番の値を入れ直してほしい。既定値の107kg/mは特定シリーズの値なので、そのまま計算書に載せてはいけない。

CVTケーブル(トリプレックス形)の質量はどう入れる?

内蔵している質量表は600V CVのみで、CVTは含めていない。CVTは単心を3本撚り合わせた構成なので、単心の値を選んで条数を3倍する(1条のCVTを単心3条として扱う)と実物にかなり近づく。ただし撚りによる長さの増分や介在の有無でメーカー値とは差が出るため、太物を大量に敷設するケースではメーカー公表のCVT質量を確認し、単心の条数に読み替えて入力するのが確実だ。高圧の6600V CVTは絶縁体が厚く質量が大きく変わるので、600V CVの値からの流用はしない方がいい。

吊りボルトの検定比が0.03とか0.05にしかならない。計算が間違っていない?

正常な値だ。実務条件で試した範囲では、吊りボルトの引張検定比は0.004〜0.083の間に収まる。ラックの積載は分布荷重なので、支持点1つが負担するのは「合計積載質量 × 支持間隔」で数十kg程度にしかならず、W3/8でも桁違いに余裕が出る。だから本ツールは、判定を積載検定比と規程適合の2つで決めて、吊りボルト引張は参考値として表示する形にしてある。実際に吊りボルトの寸法を決めているのは引張ではなく、地震時の水平力、長い吊り長さでの座屈・振れ、そして躯体側インサートの引抜きだ。「常にOKになる検定」を判定の主役に置くと、本当に危ない項目が埋もれてしまう。

積載検定比はOKなのに「NG」と出るのはなぜ?

強度と規程は別々の検定で、どちらか一方でも外れれば是正対象になるからだ。積載に余裕があっても、支持間隔が営繕基準2.10.1(2)の上限(鋼製2.0m以下・その他1.5m以下)を超えていれば規程超過になるし、ラック幅600mm超に呼び径9.525mmのW3/8を使えば同2.10.1(4)の呼び径不足になる。どちらに引っかかったかは「支持間隔の規程」「吊りボルト径の規程」の欄に分けて表示されるので、そこを見れば是正すべき項目が特定できる。逆に、規程内なのに積載超過という組合せもある。両方を同時に見るために2系統の照合を並べている。

「検定比1.0に必要な支持間隔」が今の間隔より長い。間隔を広げていい?

広げてはいけない。この値は「現在の積載で強度上ちょうど成立する間隔」であって、規程の上限とは無関係だ。強度上は3mでも持つと出ても、鋼製ラックの支持間隔は営繕基準で2.0m以下と決まっている。この欄は主に、積載が許容を超えたときに「どこまで詰めれば収まるか」を読む是正の目安として使うもので、現在の間隔より長い値が出ている場合は「今の間隔で強度は満たしている」というだけの意味になる。設計値としては、強度上必要な間隔と規程上限のうち短い方を採る。

入力したラック仕様やケーブル条数は外部に送信される?

一切送信されない。計算はすべてブラウザ内で完結していて、外部サーバーとの通信は発生しない。幹線の構成や条数は建物の設備構成そのものを表す情報なので、社外のサーバーに置きたくない案件も多いはずだ。入力値はページを閉じれば消えるので、共用PCで使ったあとに残る心配も無い。結果をコピーして自社の計算書に貼る運用なら、データが手元から出ることはない。

まとめ

ケーブルラックの検討は「幅を決める」と「持つかを確かめる」の2段構えになっている。幅はケーブルラック幅選定シミュレーターで決め、そこから先の何kg載るか・支持間隔が足りるか・吊りボルトの呼び径が規程を満たすかを本ツールで詰める。カタログの許容積載質量を1つ入れるだけで、スパン換算・連続ばり係数・営繕基準の照合まで通しで出るので、計算書の下ごしらえがそのまま済む。

躯体側のあと施工アンカーの引抜きまで検討するならアンカーボルト引抜・せん断強度計算、同じ吊り支持でも配管側の間隔を見るなら配管サポート間隔チェッカー、住宅の天井から物を吊る話であれば天井吊り下げ耐荷重チェッカーが対応する。

計算の前提やケーブル質量表について気づいた点があれば、お問い合わせページから知らせてほしい。現場で使われている値との差は、実務者からの指摘でしか埋まらない。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。電気設備の施工図で「幅は決まったが支持間隔が足りているか誰も見ていない」場面に何度も出くわし、カタログの107kg/mという一点の値を実際のスパンへ換算する手計算を毎回やっていたので、ケーブル質量の積み上げごとツールにした。

運営者情報を見る

© 2026 ケーブルラック耐荷重・支持間隔チェッカー