パーツを載せたら重心はどこへ動く? 転倒リスクを数値で見極める
コーナーで車両がふらつく、荷物を積んだフォークリフトが横転しかける——こうした「不安定さ」の正体は、重心位置と支持多角形の関係にある。
重心計算&転倒角度計算は、車両本体と搭載パーツの座標・重量を入力するだけで、合成重心位置(X, Y, Z)と前後荷重分配、さらに左右方向の転倒限界角を自動算出するブラウザツール。上面図と正面図の2つのSVGプレビューで、重心の偏りや転倒リスクを視覚的に把握できる。パーツを追加・移動するたびにリアルタイムで結果が更新されるから、最適なセッティングを数値で探れる。
さらに「車検証モード」を用意した。車検証に載っている軸距・前前軸重・後後軸重・最大積載量をそのまま写して荷物の重量と積む位置を入れると、積載時の前軸重・後軸重と法規判定(軸重10 t・輪荷重5 t・前軸重比20%)が出る。不適合なら「この位置であと何kg積めるか」「荷物を何mm前に動かせば収まるか」まで逆算する。
なぜ重心計算&転倒角度計算を作ったのか
開発のきっかけ
ミニ四駆のレースで「コーナーで吹っ飛ぶ」問題に悩んでいた。バッテリーの位置を変えたりウェイトを貼ったりしても、勘と経験に頼るしかない。エクセルで重心計算シートを作ってみたものの、パーツを増やすたびにセル参照がぐちゃぐちゃになって、結局使わなくなった。
既存のオンライン重心計算ツールを5つほど試したが、どれも問題があった。ある一つは2D限定で高さ方向(Z軸)が考慮できない。別のツールは入力UIがスプレッドシート風で、スマホで使うと数値の入力欄が豆粒サイズになる。転倒角の計算まで一貫してやってくれるツールは見つからなかった。
「パーツを追加して重心を見る」だけじゃなくて「このセッティングで転倒しないか」まで一発でわかるツールが欲しい。そう思って作ったのがこのツール。
こだわった設計判断
- Simple/Advancedモード: 初心者はSimpleで最低限の入力だけで結果が出る。慣れたらAdvancedで左右重心オフセットや前後トレッド差まで指定できる
- SVGの2ビュー構成: 上面図でパーツ配置を俯瞰し、正面図で転倒角を直感的に理解できる。数値だけだとピンとこない転倒リスクも、ビジュアルなら一目瞭然
- プライバシー重視: すべてブラウザ内で完結する。設計データをサーバーに送信する必要がないので、公開前の試作データも安心して扱える
- 車検証モードは計算エンジンではなく入力アダプタとして足した: 軸重の計算は「質点を合成して軸まわりでモーメントを取る」という本体の計算と同じもの。新しいエンジンは書かず、車検証の前前軸重・後後軸重から空車の等価質点を逆算して既存の釣り合い式に流している。車検証モードは転倒角の計算そのものには触れていないので、モードを行き来しても互いの結果は影響し合わない。なお転倒限界角のほうは、Advancedモードで前後トレッドが異なる車両だと合成重心Xの位置でトレッドを内分する仕様なので、前後配分やパーツ配置を変えると限界角も連動して動く。配分をいじったら限界角も見直してほしい
重心と転倒角の基礎知識 — なぜ物体は倒れるのか
「重心」と「転倒角」の概念を第一原理から理解しておくと、ツールの結果を正しく読み取れるようになる。ここでは物理の教科書を読まなくてもピンとくるように、日常のたとえ話を交えて解説する。
重心(Center of Gravity)とは
重心とは、物体の質量分布を一点に集約したときの代表点のこと。地球の重力が物体を引っ張るとき、あたかもその一点だけに全質量が集中しているかのように扱える——それが重心だ。
身近な例を挙げると、指一本で水平に支えられる「バランスポイント」がまさに重心の位置。空のペットボトルなら底近くに重心があるけど、水を半分入れると中央付近に上がり、満杯にするとさらに上に移る。この「中身が変わると重心が動く」感覚が、パーツ追加で合成重心が変化するのと同じ原理。
複数の物体(パーツ)がある場合の合成重心は、各パーツの質量で重み付けした位置の平均で求まる:
合成重心 = Σ(各パーツの位置 × 各パーツの質量) / Σ(各パーツの質量)
3次元空間ではX, Y, Zの各軸について、この計算を独立に行えばよい。
転倒角(Tipping Angle)とは
転倒角は、重心の鉛直線が支持多角形(タイヤ接地点が囲む範囲)の端からどれだけ内側にあるかを角度で示した指標。車両が傾いたとき、重心から下ろした鉛直線がタイヤの接地点の外側に出た瞬間に、復元力がゼロになって転倒が始まる。
転倒限界角 とは — トレッド幅と重心高さの関係
転倒限界角は「あと何度傾けたら転倒するか」を表す角度。シンプルな直方体モデルで考えると:
転倒限界角 θ_limit = atan(トレッド幅/2 ÷ 重心高さ)
つまり、トレッド幅が広いほど・重心が低いほど、限界角は大きくなって安定する。逆にトレッド幅が狭くて重心が高い車両(荷物を積んだフォークリフト、二段積みのトレーラーなど)は限界角が小さくなり、少しの傾きで転倒するリスクが高まる。
レーシングカーが車高を極限まで下げて幅広タイヤを履くのは、まさにこの原理で転倒限界角を最大化するため。F1マシンはトレッド幅約1.8m・重心高さ約0.3mなので、理論上の転倒限界角は約72°にもなる。
重心の偏りが招く事故 — 転倒角が設計を左右する理由
重心計算は「あれば便利」なツールではなく、安全に直結する設計パラメータだ。重心の偏りや高さの見積もりを誤ると、以下のような深刻な問題が発生する。
フォークリフトの転倒事故
労働安全衛生規則第151条の14では、フォークリフトの荷物の偏荷重や急旋回による転倒防止措置が義務付けられている。厚生労働省の統計によれば、フォークリフト事故の約3割が転倒に起因する。荷物を高く持ち上げた状態で旋回すると、重心が上がり限界角が低下して転倒に至る——これはまさに重心高さと転倒限界角の関係そのもの。
トラックの横転と積載基準
道路交通法施行令では、貨物自動車の積載物の高さ制限が定められている。荷台の高さから3.8m(高さ指定道路では4.1m)を超えてはならない。これは単に道路構造物との干渉を防ぐだけでなく、高重心による横転リスクの抑制も目的の一つ。実際に、カーブでの横転事故は積載物が高い場合に集中している。
軸重が超えると何が起きるか — 保安基準の3つの数値
トラックの積載で効いてくるのは総重量だけではない。道路運送車両の保安基準 第4条の2は、1本の車軸にかかる荷重(軸重)を10 t以下、片側1輪にかかる荷重(輪荷重)を5 t以下と定めている。総重量が車検証の範囲に収まっていても、荷物を後ろ寄りに積めば後軸だけが10 tを超える——これが「過積載ではないのに不適合」という状態だ。軸重超過は路面の疲弊に直結するため取締りの対象になり、車両制限令の一般的制限値としても軸重10 tが使われている。
逆方向の縛りもある。保安基準第5条(安定性)を受けた細目告示第8条第1号は、空車状態でも積車状態でも、かじ取り車輪——普通のトラックなら前輪——にかかる荷重の総和が、車両重量・車両総重量のそれぞれ20%以上でなければならないと定めている。前輪の荷重が抜けるとハンドルが効かなくなるからで、荷物を荷台の後ろ半分に寄せると簡単にこの線を割る。2 t車の荷台最後端に2 tを集中させると前軸重比は9.0%まで落ちる(使用例のケース8)。
つまり積載には「後ろに寄せすぎると後軸が10 tを超える」「前が抜けると20%を割る」という上下の壁があり、その間に収める作業が積載計画そのものになる。軸重計算は二級自動車整備士の学科試験でも繰り返し出題される定番問題で、ホイールベース・荷台オフセット・空車軸重から積載時の軸重を出す形式は数十年変わっていない。
ミニ四駆・RCカーでの重心と性能の関係
競技の世界でも、重心位置はパフォーマンスに直結する。ミニ四駆の公式レースでは、立体交差やバンクセクションで車体が大きく傾く。重心が高い・左右に偏っているセッティングでは、コースアウトや転倒の確率が跳ね上がる。
前後の荷重配分も重要で、駆動輪への荷重が不足するとトラクションが低下し、前輪への荷重が過剰だと旋回性が悪化する。前後配分の最適値はコースレイアウトや駆動方式に依存するが、数値で把握していなければ調整のしようがない。
重心高さの目安
一般的な車両の重心高さと転倒限界角の関係を示す:
| 車両タイプ | 重心高さ(目安) | トレッド幅(目安) | 転倒限界角 |
|---|---|---|---|
| F1マシン | 0.3 m | 1.8 m | 約72° |
| 乗用車 | 0.5 m | 1.5 m | 約56° |
| SUV | 0.7 m | 1.6 m | 約49° |
| トラック(空荷) | 1.0 m | 1.8 m | 約42° |
| トラック(満載) | 1.5 m | 1.8 m | 約31° |
重心が高くなるにつれて限界角が急激に減少する。トラックの満載時は31°程度しかなく、急カーブや横風で容易に危険域に入りうる。
重心シミュレーションが活躍する場面
ミニ四駆のセッティング最適化
バッテリーやモーターの位置を変えたときに重心がどう動くか、転倒限界角がどう変わるかをシミュレーション。実際にパーツを組み替える前に数値で確認できるので、試行錯誤の回数を減らせる。マスダンパーの配置検討にも有効。
RCカー・模型車両の前後荷重調整
RCカーやラジコントラックで、荷物を載せたときの前後荷重バランスを確認したい場面。荷物の重量と位置を入力すれば、前軸・後軸それぞれにどれだけ荷重がかかるかが即座にわかる。
物理の授業・力学学習の教材
力のモーメントや重心の概念を学ぶ教材として活用できる。入力値を変えて結果がリアルタイムに変わる様子を観察すれば、教科書の数式が感覚的に理解できる。
車両・装置の簡易安定性評価
実車やフォークリフトなど、荷重条件が変わる場面での概算チェック。厳密な評価には専門ソフトが必要だが、「この荷物を載せたら大丈夫か」の目安をサッと確認するのに便利。
トラックの積載計画・架装の事前チェック
「この荷物をこの位置に積んだら軸重に収まるか」を、車検証の数値だけで積む前に確認できる。荷台の後ろ寄りに重い機材を1台載せるようなケースでは、総重量に余裕があっても後軸が先に上限へ届く。架装や構造変更で荷台位置が変わるときは、前軸重比20%の線を割らないかも同時に見える。
整備士試験の軸重計算問題の答え合わせ
二級整備士の学科でおなじみの「最大積載時の前軸荷重を求めよ」型の問題を、そのまま入力して検算できる。荷台内側長とリヤオーバハングから荷台オフセットを出す入力モードがあるので、問題文の数値を写すだけで済む。
基本の使い方
たった3ステップで合成重心と転倒角が算出できる。
Step 1: 車両仕様を入力する
車両重量、前後配分(スライダーで直感的に設定)、前軸・後軸のX座標、トレッド幅、重心高さを入力する。デフォルト値はミニ四駆サイズになっているので、そのまま試すこともできる。
Step 2: パーツを追加する
「+ パーツを追加」ボタンで項目を増やし、各パーツの名称・座標(x, y, z)・重量を入力する。初めて使うなら「ミニ四駆プリセットを読み込む」ボタンで、Battery/Motor/Chassis/DriverDummyの4パーツを一括追加できる。
Step 3: 結果を確認する
入力と同時にリアルタイムで計算結果が更新される。合成重心の座標、前後荷重、転倒角と限界角がステータスカードに色分け表示される。SVGプレビューで上面図(パーツ配置)と正面図(転倒角の弧)を切り替えて確認しよう。
車検証モードの使い方
モード切替で「車検証」を選ぶと、入力欄が車検証の諸元に切り替わる。転倒角の計算とは独立していて、行き来しても互いの入力は消えない。
- 車検証を写す — 軸距(ホイールベース)、車両総重量、前前軸重、後後軸重、最大積載量の5つ。前前軸重+後後軸重の合計がその場で表示されるので、車検証の「車両重量」欄と一致するか見れば写し間違いに気づける。最大積載量の記載がない車は空欄でよい
- 荷物の重量と位置を入れる — 位置は荷台オフセット(後軸中心から荷物重心まで・前方が +)で指定する。車検証には載っていない値なので、荷台内側長とリヤオーバハングから自動計算する入力モードも用意した。乗員は人数と1人あたりの重量(保安基準の換算値は55 kg)で入れる
- 判定と逆算を読む — 軸重10 t・輪荷重5 t・積載量・総重量・前軸重比20%(積載時と空車の2つ)の6項目が適合/不適合で並ぶ。不適合のときは「この位置であと何kg積めるか」「荷物を何mm動かせば収まるか」が同時に出るので、積み方を変えるだけで直せるのか、量を減らすしかないのかがすぐ分かる
具体的な使用例(検証データ)
実際にツールへ同じ入力を与えて得た出力を8ケース紹介する。ケース1〜6は重心・転倒角(Advancedモード)、ケース7〜8は車検証モードの軸重判定。
ケース1: ミニ四駆標準セッティング
「ミニ四駆プリセットを読み込む」で入る4パーツを、デフォルトの車両仕様に載せた状態。Advancedモードで計算している。
入力値:
- 車両重量: 1.0 kg, 前後配分: 前50% / 後50%
- 前軸X: 0.5 m, 後軸X: -0.5 m, トレッド: 0.06 m, 車両重心高さ: 0.05 m
- Battery (0.2, 0, 0.05) 0.2 kg / Motor (-0.1, 0, 0.03) 0.15 kg / Chassis (0, 0, 0.02) 1.0 kg / DriverDummy (0.05, 0.02, 0.4) 0.07 kg
計算結果:
- 合計重量: 2.42 kg
- 合成重心 X: 0.012 m(ほぼ中央)
- 合成重心 Y: 0.001 m
- 合成重心 Z: 0.046 m
- 転倒角 θ: 0.71°
- 転倒限界角: 32.84°
→ 解釈: 転倒角は限界角の2%程度で、極めて安定した配置。ただし限界角32.84°という値自体は、重心高さ0.046 mに対してトレッドが0.06 mしかないミニ四駆の宿命でもある。以降のケースはこの値を基準に比較する。
ケース2: 偏荷重セッティング
バッテリーを右へオフセットして左右のバランスを崩した場合。
入力値:
- ケース1と同じ車両仕様・パーツ構成
- Battery の Y を 0 → 0.025 m に変更(右へ25 mm)
計算結果:
- 合成重心 Y: 0.003 m
- 転倒角 θ: 3.26°
- 転倒限界角: 32.84°
→ 解釈: 0.2 kgのパーツを25 mm動かしただけで転倒角が0.71°→3.26°と4.6倍になった。限界角に対してはまだ10%で安全域だが、「軽いパーツでも外側に置くと効く」ことが数値で見える。
ケース3: 高重心セッティング
DriverDummyの高さ(Z)を0.4 mから0.8 mに引き上げた場合。
入力値:
- ケース1と同じ車両仕様・パーツ構成
- DriverDummy の Z を 0.4 → 0.8 m に変更
計算結果:
- 合成重心 Z: 0.058 m(ケース1の0.046 mから上昇)
- 転倒角 θ: 0.57°
- 転倒限界角: 27.33°
→ 解釈: わずか0.07 kgのパーツを40 mm持ち上げただけで、限界角が32.84°→27.33°へ5.5°も低下した。ここで転倒角θのほうが下がって見えるのは、cgYが変わらないまま重心高さだけ上がったため(θ = atan(|cgY| / cgZ))で、安定したわけではない。θ単体ではなく限界角との差を見ること。
ケース4: 大型車両(トラック想定)
実車スケールでの概算チェック。
入力値:
- 車両重量: 5000 kg, 前後配分: 前40% / 後60%
- 前軸X: 3.5 m, 後軸X: 0 m, トレッド: 1.8 m, 車両重心高さ: 1.2 m
- 荷物パーツ: (1.5, 0.1, 2.0) 2000 kg
計算結果:
- 合計重量: 7000 kg
- 合成重心 X: 1.429 m / Y: 0.029 m / Z: 1.429 m
- 転倒角 θ: 1.15°
- 転倒限界角: 32.21°
- 前軸荷重: 2857.14 kg(40.8%) / 後軸荷重: 4142.86 kg(59.2%)
→ 解釈: 高さ2.0 mに積んだ2 tの荷物が合成重心を1.2 m→1.429 mへ押し上げ、限界角が32.21°まで下がった。保安基準の傾斜試験のライン(空車状態で35°)を積載時には下回る水準で、横風や急旋回に余裕がない。
ケース5: ウェイト追加による低重心化
ケース1の標準セッティングに、車体底部へ鉛ウェイトを追加して重心を下げる効果を検証。
入力値:
- ケース1と同じ車両仕様・パーツ構成
- 追加パーツ: BottomWeight (0, 0, 0.005) 0.3 kg(車体底面にべた付け)
計算結果:
- 合計重量: 2.72 kg
- 合成重心 Z: 0.042 m(ケース1の0.046 mから低下)
- 転倒角 θ: 0.70°
- 転倒限界角: 35.59°
→ 解釈: 0.3 kgのウェイトを底面に貼っただけで限界角が32.84°→35.59°へ2.75°拡大した。ケース3の「0.07 kgを40 mm上げると5.5°失う」と並べると、重心高さの数mmがどれだけ効くかがつかめる。重量を増やすより、既にあるパーツを下げるほうが割がいいことも読み取れる。
ケース6: 左右非対称パーツ配置の影響
左側にサイドマスダンパー、右側にFRP補強プレートを追加し、左右非対称な配置にした場合。
入力値:
- ケース1と同じ車両仕様・パーツ構成
- 追加パーツ1: SideMassDamper (0, -0.05, 0.04) 0.15 kg(左側)
- 追加パーツ2: FRP_Plate (0.1, 0.025, 0.03) 0.05 kg(右側)
計算結果:
- 合計重量: 2.62 kg
- 合成重心 Y: -0.002 m(左側へ偏移)
- 転倒角 θ: 2.31°
- 転倒限界角: 33.22°
→ 解釈: マスダンパー側のモーメント(0.15 kg × 50 mm)がFRPプレート側(0.05 kg × 25 mm)の6倍あるため、右寄りに置かれたDriverDummyの分を打ち消してもなお左へ偏る。左コーナーと右コーナーで挙動差が出る配置で、右側にカウンターウェイトを足すか、マスダンパーを中央寄りに付け替えると揃う。
ケース7: 過積載ではないのに後軸重が10 tを超える(車検証モード)
増トン車に最大積載量ちょうどを積んだ場合。プリセット「増トン8t積み」でそのまま再現できる。
入力値:
- 軸距 4300 mm / 車両総重量 14165 kg / 空車前軸重 3200 kg / 空車後軸重 2800 kg / 最大積載量 8000 kg
- 積載物 8000 kg、荷台内側長 6000 mm・リヤオーバハング 2900 mm(荷台オフセット +100 mm)
- 乗員3人 × 55 kg(前軸上)
計算結果:
- 積載時 前軸重: 3551 kg(輪荷重 1776 kg) — 適合
- 積載時 後軸重: 10614 kg(輪荷重 5307 kg) — 不適合
- 総重量: 14165 kg(車両総重量ちょうど・適合) / 前軸重比: 25.1%(適合)
- この位置で積める上限: 7371 kg(後軸重10 tが上限を決めている)
- 荷台オフセットの許容範囲: 430 mm 〜 3566 mm → 荷物を前方へ 330 mm
→ 解釈: 積載量も総重量も車検証どおりなのに、後軸だけが10 tを614 kg超えている。荷台の中心が後軸のほぼ真上(オフセット+100 mm)にあるのが原因で、荷物を330 mm前に寄せると後軸重はちょうど10000 kg・前軸重4165 kgとなり全項目が適合する。量を減らさず積む位置だけで解決できる典型例で、この「330 mm」を出すのが逆算の役割。
ケース8: 前軸重が保安基準の20%を割る(車検証モード)
2 t車の荷台の最後端に荷物を集中させた場合。
入力値:
- 軸距 2500 mm / 車両総重量 4165 kg / 空車前軸重 1200 kg / 空車後軸重 800 kg / 最大積載量 2000 kg
- 積載物 2000 kg を荷台の最後端に集中(荷台オフセット −1240 mm = リヤオーバハングと同じ位置)
- 乗員3人 × 55 kg(前軸上)
計算結果:
- 積載時 前軸重: 373 kg(輪荷重 187 kg) / 後軸重: 3792 kg
- 前軸重比: 9.0% → 不適合(総重量の20%以上が必要)
- 軸重・輪荷重・積載量・総重量はいずれも適合
- この位置で積める上限: 1339 kg(前軸重比20%が上限を決めている)
- 荷台オフセットの許容範囲: −665 mm 〜 10794 mm → 荷物を前方へ 575 mm
→ 解釈: 軸重も総重量もまったく問題ないのに、前輪にかかる荷重が総重量の9.0%まで落ちている。この状態ではハンドルが効かず、細目告示第8条第1号の20%規定にも適合しない。575 mm前へ寄せるとちょうど20.0%(前軸833 kg)に戻る。ケース7と対で見ると、後ろに寄せすぎたときに先に効くのは後軸の10 tとは限らず、車格によっては前軸の20%のほうが先に来ると分かる。
仕組み・アルゴリズム — 重心合成と転倒判定の計算手法
候補手法の比較 — なぜ加重平均法を選んだか
合成重心と転倒角を求める方法はいくつか考えられる。開発時に検討した3つの手法を比較する。
| 手法 | 精度 | 計算速度 | 実装の複雑さ | 3D対応 |
|---|---|---|---|---|
| 加重平均法(採用) | 高い(理論解) | 瞬時 | 低い | 容易 |
| 物体分割+数値積分 | 最高 | 中程度 | 高い | 容易 |
| CAE/FEMベース | 最高 | 遅い | 非常に高い | 対応 |
物体分割+数値積分は、各パーツを微小体積要素に分割し、密度分布を考慮して数値積分する方式。パーツ内部の密度が一様でない場合(例: 中空構造)に精度が上がるが、ブラウザ上での計算負荷が高く、パーツ数が増えると体感速度に影響が出る。
CAE/FEMベースは有限要素法で物体をメッシュ分割し、接触条件や変形まで考慮する本格的な手法。転倒シミュレーションとしては最も正確だが、専用ソフト(ANSYS、Abaqusなど)が必要で、ブラウザツールの範囲を超える。
加重平均法を採用した理由は、計算速度と精度のバランスが最も優れているから。各パーツを質点(位置と質量だけを持つ点)として扱い、質量で重み付けした位置の平均をとる。パーツが剛体で密度が一様という前提なら数学的に厳密な解が得られ、パーツ数が増えても計算量は O(n) で線形にしか増えない。500パーツでもリアルタイム計算が可能。
参考: 重心 - Wikipedia
合成重心の計算フロー
各パーツ i の座標 (xi, yi, zi) と重量 wi を用いて、合成重心を次のように求める:
X_CG = Σ(xi × wi) / Σ(wi)
Y_CG = Σ(yi × wi) / Σ(wi)
Z_CG = Σ(zi × wi) / Σ(wi)
車両本体も1つのパーツとして扱い、前後配分から車両重心のX座標を算出してから全パーツと合成する。
転倒角と転倒限界角の算出
転倒角 θ は、合成重心の左右オフセット(Y_CG)と高さ(Z_CG)から三角関数で算出する:
θ = atan(|Y_CG| / Z_CG)
θ_limit = atan((トレッド幅/2) / Z_CG)
θ が θ_limit を超えると、重力の作用線がタイヤの接地点(支点)の外側に出るため、理論上は転倒する。
前後荷重の計算
前後荷重は、軸まわりのモーメント釣り合いから求める。後軸を支点として:
前軸荷重 = 全重量 × (後軸X − 重心X) / (後軸X − 前軸X)
後軸荷重 = 全重量 − 前軸荷重
これはてこの原理そのもの。重心が後軸に近いほど後軸荷重が増え、前軸に近いほど前軸荷重が増える。
計算例: ミニ四駆標準セッティング
ケース1の値を使ってステップバイステップで計算してみよう。
車両: 重量1.0kg, CG_X=0.0m (50:50配分)
Battery: (0.2, 0, 0.05) × 0.2kg
Motor: (-0.1, 0, 0.03) × 0.15kg
Chassis: (0, 0, 0.02) × 1.0kg
Driver: (0.05, 0.02, 0.4) × 0.07kg
全重量 W = 1.0 + 0.2 + 0.15 + 1.0 + 0.07 = 2.42 kg
X_CG = (0×1.0 + 0.2×0.2 + (-0.1)×0.15 + 0×1.0 + 0.05×0.07) / 2.42
= (0 + 0.04 − 0.015 + 0 + 0.0035) / 2.42
= 0.0285 / 2.42
≈ 0.012 m
Y_CG = (0×1.0 + 0×0.2 + 0×0.15 + 0×1.0 + 0.02×0.07) / 2.42
= 0.0014 / 2.42
≈ 0.00058 m
Z_CG = (0.05×1.0 + 0.05×0.2 + 0.03×0.15 + 0.02×1.0 + 0.4×0.07) / 2.42
= (0.05 + 0.01 + 0.0045 + 0.02 + 0.028) / 2.42
= 0.1125 / 2.42
≈ 0.046 m
転倒角 θ = atan(0.000579 / 0.04649) ≈ 0.71°
転倒限界角 = atan(0.03 / 0.04649) ≈ 32.84°
※ 最後の2行で丸めた0.046ではなく0.04649をそのまま使うと、ツールの表示値(θ 0.71° / 限界角 32.84°)と桁まで一致する。使用例のケース1はこの値。
軸重の計算 — 荷台オフセットとモーメント釣り合い
車検証モードでも、計算しているのは上とまったく同じモーメント釣り合いだ。違うのは入力の形だけで、車検証の値を質点に変換するアダプタを挟んでいる。
車検証には空車の重心位置は載っていない。だが前前軸重と後後軸重が載っているので、そこから逆算できる(前軸を原点・後方を正とする):
空車重心の前後位置 x_empty = WB × Wr0 / (Wf0 + Wr0)
WB : 軸距(ホイールベース)
Wf0 : 空車前軸重(前前軸重)
Wr0 : 空車後軸重(後後軸重)
あとは荷物と乗員を質点として足し、前軸重を後軸まわりのモーメント釣り合いで求める:
前軸重 Wf = Σ Wi × (WB − xi) / WB
後軸重 Wr = 総重量 − Wf
荷物の位置は荷台オフセット(後軸中心から荷物重心まで・前方が +)で入れるので xi = WB − オフセット。これを代入すると、荷物1個ぶんの前軸への配分は オフセット × 荷物重量 ÷ WB になる——整備士試験で使われるあの式そのものだ。式が2種類あるのではなく、同じモーメント釣り合いの別表現でしかないので、実装が持っている基準式は1本だけ。荷台オフセット自体は車検証に載っていないが、荷台寸法から求まる:
荷台オフセット = 荷台内側長 ÷ 2 − リヤオーバハング
なお前軸重の式には絶対値を付けていない。荷物の重心が後軸より十分後ろにあると前軸重は負になるが、これは「前輪が浮く方向」という実在する状態なので、符号を潰さずそのまま表示して警告を出している。
検算 — 公表されている数値例4件で符号規約を確かめる
式が正しくても、オフセットの向き(前が + か後ろが + か)や乗員荷重の扱いを取り違えれば答えは合わない。しかも取り違えたまま全ケースが自己整合してしまうので、自分で作った例では検証にならない。そこで、二級自動車整備士の学科試験で出題され解答が公表されている軸重計算の問題4件を、実装にそのまま入力して突き合わせた(出典: 整備士ドットコム)。荷重の単位がN(ニュートン)でも配分の比は変わらないため、そのまま検算に使える。
| # | 与えられた値 | 求める値 | 公表解答 | 実装の出力 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 軸距5000 / 空車前軸33900 N / 荷台内側長6400 / リヤOH 2250 / 積載40000 N / 乗員3人×550 N | 最大積載時の前軸荷重 | 43150 N | 43150 N |
| ② | 軸距5000 / 空車前軸30400 N / 荷台長5500 / リヤOH 1500 / 積載40000 N / 乗員3人×550 N | 最大積載時の前軸荷重 | 42050 N | 42050 N |
| ③ | 軸距2500 / 空車前軸14500 N / オフセット350 / 積載27500 N / 乗員3人×550 N | 前軸荷重 | 20000 N | 20000 N |
| ④ | 軸距2500 / 空車後軸21900 N / オフセット600 / 積載30000 N / 乗員3人×550 N | 後軸荷重 | 44700 N | 44700 N |
(長さの単位はmm・④の空車前軸重は問題文に無いが、後軸重は「空車後軸重+積載の後軸配分」だけで決まるので前軸側に何を入れても 44700 N になる)4件とも小数以下まで一致した。①②は荷台寸法からオフセットを起こす経路、③はオフセット直接入力、④は前軸ではなく後軸を問うている。符号規約が逆なら③と④のどちらかは必ず外れるので、これで向きまで確かめられる。公表された「式」との突合は代数的に同じ式を並べるだけで検証にならないが、公表された「数値例」なら規約や換算の扱いまで含めて一度に検証できる。
手計算やCAEソフトとの違い
すべてブラウザ内で完結
計算はすべてクライアントサイドのJavaScriptで実行される。サーバーにパーツ情報や設計データを送信しないので、公開前の試作データや企業の設計情報も安心して扱える。localStorageへの保存もブラウザ内に閉じている。
2つのSVGビューで直感的に把握
上面図でパーツの配置と合成重心の位置を俯瞰し、正面図でトレッド幅に対する重心高さと転倒角を視覚的に確認できる。数値だけではわかりにくい「どれくらい危険か」が、色分けされた弧で一目瞭然。転倒超過時には赤いパルスアニメーションで注意を促す。
Simple / Advanced / 車検証 の3モード
Simpleモードでは最低限の入力項目だけを表示し、初心者でも迷わない。Advancedモードに切り替えると、前後トレッド差・左右重心オフセット・各パーツのZ座標(高さ)まで細かく指定できる。車検証モードは入力欄そのものが車検証の諸元に変わり、結果も重心座標ではなく軸重と法規判定に切り替わる。3つは同じページの中で行き来でき、片方の入力がもう片方で消えることはない。
軸重を自動計算してくれるツールが他に見当たらない
「軸重計算」で検索して出てくるのは、整備士試験の過去問解説と、国土交通省の告示に付いている「別添 軸重計算方法」のPDF——つまり基準の原文だ。特殊車両通行許可の申請支援サイトや中古トラック販売サイトも解説記事を出しているが、いずれも読み物で、数値を入れると答えが返ってくるツールは見当たらなかった。
車検証モードはその空白をそのまま埋めている。車検証の5つの数値と荷物の重量・位置だけで、軸重・輪荷重・積載量・総重量・前軸重比の6項目を一度に判定し、「あと何kg」「何mm動かす」まで逆算する。過去問の答え合わせにも、実際の積載計画にも同じ画面が使える。
知っておくと便利な重心と安定性の豆知識
ミニ四駆の重心調整テクニック
ミニ四駆のレースでは、マスダンパー(錘)を低い位置に取り付けて重心を下げるのが定番テクニック。ただし重くしすぎるとモーターへの負荷が増えて直線速度が落ちる。このツールで重心位置と転倒角の変化をシミュレーションすれば、速度と安定性のバランスを数値で判断できる。
参考: ミニ四駆公式サイト - タミヤ
静的安定性と動的安定性の違い
このツールが計算するのは「静的な転倒角」。実際の走行では遠心力や路面の凹凸が加わるため、動的な安定性は静的な値よりも厳しくなる。一般的に、動的な安全マージンとして静的限界角の60-70%以内に収めるのが目安とされる。
船舶の復原力と重心の関係
重心と安定性の関係は車両に限らない。船舶の設計では「メタセンタ高さ(GM)」という指標で転覆リスクを評価する。GMが大きいほど復原力が強く安定するが、大きすぎると揺れが急激になり乗り心地が悪化する。車両と同じく、重心を下げて支持幅(船幅)を広げるのが基本戦略。参考: 船舶の復原性 - Wikipedia
「35°まで傾けて転覆しない」の傾け方には定義がある
保安基準第5条を受けた細目告示第8条第4号は、空車状態の自動車を左右それぞれ35°——最高速度20 km/h未満の車、または車両総重量が車両重量の1.2倍以下の車は30°、側車付二輪自動車は25°——まで傾けても転覆しないことを求めている。おもしろいのはその但し書きで、「左側及び右側に傾ける」とは車体の中心線に直角に傾けることではなく、実際に転覆が起こる外側の前後車輪の接地点を結んだ線を軸として傾けることだと明記されている。
前後でトレッド幅が違う車では、この2点を結んだ線は車体中心線と平行にならない。斜めの軸まわりに倒すぶん、単純な「トレッド幅の半分 ÷ 重心高さ」より条件が厳しくなる場合がある。このツールの転倒限界角は前者、つまり車体中心線に直角な軸まわりで計算しているので、法規の傾斜試験そのものではなく、その手前の目安として使ってほしい。ケース4のトラックが32.21°というのは、空車で35°を要求される世界から見ればかなり際どい数字だと分かる。
使い方のコツ・Tips
パーツの座標系を統一する
X軸は前方が正、Y軸は右方が正、Z軸は上方が正で統一されている。実際の車両で測るときは、基準点(たとえば車体中心の地面接地点)を決めて、そこからの相対座標をメジャーで測ると間違いが少ない。
まずプリセットで全体像をつかむ
初めて使うときは「ミニ四駆プリセット」を読み込んで、各値を変えたときに結果がどう変わるかを試してみて。重心の移動とSVGの変化がリアルタイムで連動するので、感覚がつかみやすい。
保存機能を活用する
複数のセッティング案を比較するときは、パターンAを入力→保存、リセット→パターンBを入力→結果をコピー、読み込み→パターンAの結果と比較、という流れが便利。
転倒限界角の60-70%を目安にする
静的な転倒限界角がギリギリでも、走行中の動的荷重を考えると余裕がない。限界角の60-70%以内に転倒角を収めるのが実用上の安全ライン。
荷台オフセットだけは車検証に載っていない
車検証モードで唯一「車検証を見ても書いていない」のが荷台オフセット。荷台内側長とリヤオーバハングが分かれば「荷台内側長 ÷ 2 − リヤオーバハング」で求まるので、その2つから自動計算する入力モードを付けた。荷物が荷台全体に均等に載っているときはこれでよく、偏らせて積むときは実際の荷物重心の位置を後軸中心からの距離で直接入れる。前方が +、後方が − で、リヤオーバハングより後ろに重心が来ることは物理的にないので、−(リヤオーバハング)が実質的な下限になる。
Q&A
Q: 入力したデータはサーバーに送信される?
一切送信されない。すべての計算はブラウザ内のJavaScriptで完結する。「保存」機能を使った場合もlocalStorageに書き込まれるだけで、外部への通信は発生しない。設計データのプライバシーは完全に守られる。
Q: 単位はメートル固定?ミリメートルは使える?
現在の内部単位はメートル(m)。ミリメートルで入力したい場合は、値を1000で割って入力すればOK(例: 60mm → 0.06 m)。単位を統一してさえいれば、どのスケールでも正しい結果が得られる。
Q: 転倒角が0°と表示されるのはなぜ?
合成重心のY座標(左右方向)が0のとき、転倒角は0°になる。左右の偏りがなければ転倒角は発生しない。Advancedモードで車両重心Yやパーツの位置を調整すると変化する。
Q: 動的な転倒リスク(遠心力やサスの影響)も考慮される?
このツールが計算するのは静的な転倒角のみ。走行中の遠心力、サスペンションのロール、路面の凹凸による動的な影響は含まれない。実走行の目安としては、静的限界角の60-70%以内を安全ラインとして使うことを推奨する。
Q: 車検証モードは車検証のどの欄を見ればいい?
必要なのは5つ。「軸距」(=ホイールベース、mm表記)、「車両総重量」、「前前軸重」「後後軸重」、「最大積載量」。前前軸重と後後軸重の合計はツール側に表示されるので、車検証の「車両重量」欄と一致するか見れば写し間違いに気づける。最大積載量の記載がない車(乗用車やキャンピングカーなど)は空欄のままでよく、そのときは積載量の判定だけが除外されて他の5項目は通常どおり判定される。
Q: 3軸・4軸のトラックやトレーラーにも使える?
前1軸・後1軸の2軸車が前提。3軸以上の車で効いてくる連軸(タンデム軸)の隣接軸重の規定——軸距1.8 m未満なら18 t、1.8 m以上なら20 t——は判定に含めていない。トレーラーを連結した状態も対象外。2軸車として概算したうえで、連軸の車はメーカーの諸元表で別途確認してほしい。
Q: 輪荷重は本当に軸重の半分でいい?
左右均等に荷重がかかると仮定した値なので、あくまで目安。荷台の左右どちらかに寄せて積んだり、車両側の艤装が片側に偏っていたりすると、軸重が10 t以内でも片輪だけが5 tを超えることがある。左右方向の偏りが気になるときは、Advancedモードで荷物のY座標を入れて合成重心Yと転倒角を見るほうが実態に近い。
Q: 保安基準どおりの「積車状態」で判定するには?
保安基準の積車状態は「乗車定員の全員(1人55 kg換算)が乗り、最大積載量の荷物を積んだ状態」と定義されている。車検証モードでこれを再現するには、積載物の重量に最大積載量、乗員数に乗車定員、1人あたりの重量に55 kgを入れ、荷物を荷台の中心(荷台内側長 ÷ 2 − リヤオーバハング)に置けばよい。逆に日々の実務では、実際に積む重量と位置を入れたほうが役に立つ。
まとめ
重心計算&転倒角度計算は、パーツの座標と重量を入力するだけで合成重心と転倒限界角が一発でわかるツール。車検証モードに切り替えれば、車検証の軸距・前後軸重・最大積載量から積載時の軸重と法規判定(軸重10 t・輪荷重5 t・前軸重比20%)まで出せて、収まらないときは何kg減らすか何mm動かすかを逆算する。
2つのSVGビューで重心の偏りと転倒リスクを直感的に把握でき、ミニ四駆のセッティング調整から教育用途、トラックの積載計画や整備士試験の軸重計算まで幅広く使える。重心高さ・トレッド幅・パーツ配置の関係を数値で理解しておくと、安全な設計の精度が格段に上がる。
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Mahiro
Mahiro Appの開発者。ミニ四駆のコーナリング安定性を数値で攻略したくて、重心合成から転倒限界まで一貫計算できるツールを設計した。軸重の法規判定を足すときは、二級整備士の公表問題4件に実装を通して符号規約まで検算している。
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